モノイワヌヒトガタ




暗い森を歩んでた、お菓子の家を探してた
赤と白の蝶が二羽、たゆとう時へ誘ってる、


一際大きな大木に綺麗な人形が落ちていた。
ひじから先が抜けた細くて白い幼い手
眼窩から落ちた碧色の片眼
煤けた金髪が足まで届く壊れた少女の人形
ぼくは少女に声をかけた
物言わぬ人の形の骸に向かい


彼女はうれしそうに微笑んで僕を抱き締める
森の奥へといざなった赤と白の蝶は消え、ときが消えた空だった
大きく開いた彼女の手には銀の光が見えたけど
構わず僕は抱かれてた
光が背中へ消えたとき、赤い空が飛び込んだ
少女の瞳に僕が映る
僕は静かに目蓋を閉じた



comment:はい、橘さんに捧げました、666ヒット用のポエリクです〜
例に漏れず詩ではなく童話ですね。
ただ森に壊れた人間が落ちていても殺人事件か何かで済まされますが
(壊れた人間?)、
森に壊れた人形があったらぞっとしませんね
と言うのはネットの誰かの言葉。
今も昔も童話や昔話は何かの教訓だとか残酷さを包み込んだ
オブラードのような物です。恐らくこの詩の少年は
神隠しにあっている事でしょうね