悠久幻想曲≒0第4話「なぜ君に出会えたの」

セッション1<「Refrain Wind」
「物語も佳境にはいってきたしスレイブ君を虐められるのもこれ最後ね・・」
「そんな物はどうでも良いですけど実際アシュレイさんの件もありますし早く何とかしなくては・・・。」
「しかし奴はローズレイクの蜃気楼の塔にいるんだ、そう簡単には行けない。こりゃ人選を間違えたな」
 アカデミーでの事後処理を済ませたリンネ、パルフェそしてカミラ、いきなり加速度的に動き出した自体にみなが対応出来ているわけではなかった。
「このメンバーで人選をどうこう言っていても仕方ありませんよ・・」
「剣・・脚・・」
 リンネがそう言ってカミラを窘めるしかしカミラの台詞にパルフェが考え込む・・
「どうかしたのか?」
「スレイブの黒い剣の呪いが何とかなればスレイブを倒せるカモ・・」
「確かにあれがあれば心強いがどうするんだ。」
「何とか」
 シリアスな場面で出てくる冗談ほど腹立たしいものはないのだがこの調子を続けるパルフェにとっては至って普通のことだ。
 パルフェはそのままリンネとカミラに協力を求める
「魔術師組合の長に転移の扉の使用許可を取って貰えます?」
「まぁ事態が急な事だからな。向こうも嫌とは言わないだろう。」
「確かに蜃気楼の塔はかなりの高度な魔法技術の遺跡ですからあそこにも扉はあるんでしょう。でも剣の方はどうするんですか.?」
「任せて・・」
パルフェはそう薄く笑うのだった


セッション2<「Crying Shadows」
「お願い。レムちゃん。そこを開けて!」
「無駄だと思います。彼女は完全なプログラム。機械人形ですから。」
 長い通路に立ちふさがるかのようにレムが攻撃を加えてくる。キルシュはそれでも説得を続けていたが感情の無いレムには効果がないようだ。
「キルシュ!キルシュは彼奴に攻撃されたのよ?それでもあんな奴の方を持とうって言うの?」
「だってリムちゃんの話が本当ならレムちゃんはお姉ちゃんになるんだよ!そんなの可哀そうよ!」
「すでにスレイブは完全始動の準備を進めています。急がないとおそらく共倒れになります。」
 今にも泣き出しそうなキルシュをカッセルがなだめる。しかし当のレムはカッセル達にリムを渡すように要求してきた。
「蜃気楼の塔の起動にはマスターキーである私と、そこにいるリムが必要です。リムを渡しなさい、そうすれば転移の扉によってあなた達は無事にエンフィールドに戻ることが出来るでしょう」
「誰がそんなことをするか!」
 重厚そうに見える機械のはねを広げながら命令口調で答えるレムは一行の頭上から言葉を投げた。しかしそのような交渉に応じる者は居なく、対峙状態が続いていた。
「そんなことをしたら僕たちは死んでしまうではないですか」
「死亡?起動したからとてそんなことにはなりません。なぜならこの遺跡は皆の記憶を集め。保管するため機関だからです。集められた記憶は全世界に共有されます。さすれば下等生命体の人間も多少は上位種に近づくことが出来ます」
 レムが理解に苦しむように首を傾げる。
「そんなプログラムだからリムが創られたんだにゃ!リムは遺跡の鍵であるのと同時に思想の段階でそれを消去するためにも作られているにゃ!もし連れて行ってもリムが首を振らない限りは起動しないにゃりん。」
「あぁ、それにお前のマスターのスレイブは俺たちが倒してやるからな!」
 フォグとカッセルが大見得を切った時プラムがカッセルの袖を引っ張る
「ん?どうしたプラム?」
「突破をするだけなら出来りゅ。」
「本当か!?」
「でも通るだけだから後で挟み撃ちりゅ〜」
 突破できると胸を張り、挟み撃ちと言って肩を落とす、いかにも彼女らしいといえばそうなのだが、今はその持ちかけた話の方が魅力的だった。
「おいクイック。どう思う?戦力としてはこのメンバーでスレイブとレムの二人に当たることになるが?」
「えぇ、大変ですけど、こんな狭い廊下で戦うのと時間のロスを考えれば十分賞賛は有ると思います。」
 主戦力の二人のが話し合った結果、意見が一致してプラムの言う方法を採用することになった。
「いけープーちゃん!どんな方法かは知らないけど」
 とラキシュは言うがプラムのなんとかすると言うのはそうあれしかない。
 当のプラムは深呼吸して精一杯の大声で叫んだ
「何でも良いから、いっぱぁーい出てこーい!」
 そのプラムの声と共にどこからとも無く空間を割ったように悪魔や幻獣の類いが廊下にひしめき合う。
「!大量の生体反応!」
「おま:け!ケーツ・ハリー!」
 プラムが最後に呼び出したのは巨大な翼と身体を持つ鳥形の幻獣ケーツ・ハリーだ。
「こんな廊下で飛んでいくのか?!」
「すべこべ言って居る暇はありませんよ!間もの達がレムの足止めをしているうちにスレイブの元へと行かなくては」
 そう言ってケーツ・ハリーにつかまった一同は一気に蜃気楼の塔の最深部へと向かって行った・・

「ふんリムだけではなくお前達まできたか・・」
「一人でなくて悪かったな」
 たどり着いたメンバーはスレイブと対峙していた。
そこに立っていたのはスレイブだったが後ろに控えた装置の中枢へと流れていく緑の記憶の流れの輝きで照らし出されたその姿は異種で無気味な雰囲気をかもし出していた
「どうやらまだこの装置の偉大さが判らないらしいな」
そう言って腰の剣を抜く
「あっ、スペアの剣だぁ」
「本来こちらが俺の剣だったんでな。」
 最終回はコメディになりたくないのかキルシュのボケもまともに返すスレイブ・・それに呼応するかのようにカッセルも腰のダガーを、クイックも愛剣をそれぞれ抜き構える。
「ならば先に行かせて貰うぞ『剣一閃』!」
 スレイブがそのまますらめいたと思った矢先、キルシュとラキシュが左右に飛ばされその間に居たリムの姿が消えた
「早い・・・だが俺のスピードには敵わない・・、」
 どうやらスレイブが立っていた地点から驚異的なスピードでリムを抱えてさらっていったのだ。
「フンたとえ目で負えても奪い返せなくては意味がないな」
そう言ったスレイブは続けざまに闘気の刃を飛ばし牽制しながら装置の方へリムを連れて行く
「や、止めてください!」
そう言ってリムは抵抗するが、そのままリムは装置から延びるケーブルに囚われ身動きが取れなくなる
「キルシュ!ラキシュ!プラム!もう限界だ!あれ行くぞ」
「ウ、うん」
リムが装置と結線されたのを見てカッセルが打ち合わせていた作戦を指示する。その号令と共にクイックと共にスレイブに突入を掛けに行くカッセル
「何をするつもりかは知らないが無駄な足掻きは止めた方が良いぞ?俺だって無駄に人を殺して居るわけではないからな。」
「そんな事を言っていられるのも今のうちだよモン!いっくよぉ『ウンディーネティアズ!』」
「続いて二番ラキシュ行きまーす!『フレイムジェイル』!」
巨大な記憶装置全体に掛けられたウンディーネティアズによる水の膜がラキシュのフレイムジェイルによって蒸発を始める。そしてそこに最後の止めとばかりにプラムが飛び出てくる
「3番ぷ〜も行くです。『ヴォーテックス』!」
駄目押しとばかりにプラムから放たれた竜巻は記憶装置のフレームに傷を着け、その傷から内部へと水蒸気を送り込んで行った・・。
「な、そんな馬鹿な・・!?」
「このままの状態で起動を続ければいつショートしてもおかしくないですよ」
 スレイブとの鍔ぜり合いを演じながらクイックが喚起を促す。
「くっ・・お前達はぁぁぁ!」
その作戦が裏目に出る結果になってしまったか遺跡を傷つけられたスレイブは激しく憤慨しそのままありったけの力をつぎ込んで剣を水平に構える
「どうやらお前達は俺を本気で怒らせたいらしいな・・いいだろうその事の重みを体で感じてもらうぞ!『アリュー武王流奥義デッドリーテンペスト』!」
その瞬間横なぎに見えるほどの空気の刃を感じた瞬間からだが浮き上がる衝撃と共に暗闇が全員を支配して行った・・


セッション3<「パ・ズ・ル」
「みんな、準備は良い?」
「ハイ。いつでも行けます」
「うん大丈夫・・」
「ワタシも。」
一方ニューフィールド邸ではアシュレイの夢の中へと向かうためにラビナ、ミリュウ、ローラにチトセがやってきていた・・
「それじゃ皆気を付けて行ってきてね。」
「あれ?ラビナは行かないの?」
「うん、この符を使っている時は皆の体の本体の方は魂の抜け殻みたいになっちゃうから幽霊とかの格好の餌食なっちゃうらしいから結界魔法を張っとくよ。」
本当の理由はラビナがNPCだからとか言うオチはさておき、この三人がアシュレイの中へと入っていった・・

「ここがアシュレイ様の夢の中・・?」
「なんだかメルヘンチックね」
 ミリュウとチトセが降り立った一面の花畑に素直な感想を述べる・・
「この花畑・・」
「どうしたの?ローラちゃん?ここに何か覚えがあるの?」
立ち尽くしたまま動かないローラをい心配してチトセが訪ねる。
「ここは私が小さいときに着た山の向こうの大草原・・」
「あの北の山をひとつ越えた所の草原ですか・・?それが何でまた・・」
「思い出の土地なのよきっと・・」
するとそこに幼い少女が駆け寄ってきた。しかしどうやら此方の方は見えて居ないのかその場でぐるぐると走り回っている。すると後ろの方から少女の父親らしき人物が現れる・・
「おいローラ、あんまり走り回ったら危ないだろう・・?」
「だってすっごく綺麗なんだもん!」
「確か・・この場所で始めて発作が起こってその後私は気を失った・・」
目の前の少女はローラの独白をなぞるかのように苦しみだしそのまま動かなくなった
「おい!ローラ!どうしたんだローラ!?おい誰でも良い!すぐエンフィールドへと帰るぞ」
「は、はい!」
「これってもしかしてアシュレイ伯父さん延々と見ている夢の記憶・・?」
そのとき一陣のつむじ風が吹き一面に咲いていた花々の花弁が嵐のように幼い少女の周りを回りそこで時が停まったかのように空中に花弁が無数に浮いた情景になった。するとしばらくしてそれまでの情景は嘘のように消え、再び同じ少女が此方へと駆け寄ってきた。
「おいローラ、あんまり走り回ったら危ないだろう・・?」
「だってすっごく綺麗なんだもん!」
「どうやら今の場面をただ繰り返しているだけのようですね・・でもこれをひとつづつ解きほぐして行かないと駄目のようですね・・」
そう一同が解釈してしばらくしてチトセが大空に向かって叫びだした
「伯父さん!聞いてる?確かにここで始めてローラちゃんが倒れたのかもしれないけどそれはおじさんがここに連れてきた所為じゃないでしょ?いまさらこうやって居ても堂々めぐりなだけよ。」
その瞬間花畑の風景は一瞬にしてローラの家の情景へと代わって行った・・
「どうやら一番外側は突破したようです。アシュレイ様の心のわだかまりを全部取り去れば意識を取り戻されるはずです。」
 かくてローラとアシュレイ二人の心の中の戦いが始まった・・


セッション4<「Raise a War Cry」
「くっっそ!この訳判らん奴ら次から次へと!」
「多分プラムちゃんの所業かと・・」
「・・・知ってる」
 一方転移の扉の使用許可が下り早速蜃気楼の闘へと踏み込んだヴァル達だったがプラムの足止め用魔物さんに足止めを食らう形になっていた。そのうえ・・・。
「新たな侵入者の反応・・撃墜する。」
 レムまで復帰してしまい大混戦となって居た
「はっ!てい!」
もった槍を横にないで魔物を一掃するリンネ
「嬢ちゃん!ちったぁ目を覚ましたらどうだ?!」
 レムに一人向かっていくヴァル。
「デビル・名クライム」
 いつのまにか取り出した悪魔の装束を身に纏い凄まじい勢いで壁を垂直に駆け上り魔物の手を逃れるパルフェ・・垂直に壁を走るのが本当にクライム(登攀)なのかはさて置き、ここのメンバーも着実に装置へと近付いていた・・
「なぜ貴方達は戦うのですか?先ほどの侵入者も同じようでした」
「カッセル達か・・恐らく奴と同じ考えだと思うがな。そしてお前は自分の思うとおりに侵入者を阻むんだろ?それで良いんじゃないか?自分が信じた道を貫けるならな。」
「くっ・・!そうです・悲しいですがそれが人間・・いえ人に組み込まれた事ですから・・」
 リンネの言葉に少しだけ動きが鈍るレム・・そこにヴァルの手が伸びた。
「キャっ!な、何を」
それまで無表情に近かったレムが慌てるほど強引にヴァルがレムの体を小脇に抱えて走り出す
「どうせ自分の信じる道を進むって言うなら本当の事を見ていた方が良いって思ってな。おいパルフェ!リンネ!行くぞ。」


「・・・うわ」
「これは・・。」
 最深部へと廊下を掛けぬけた一行が見た物は倒れ伏しているカッセル達の姿だった。
「レムも来たか・・さぁ、早く起動させるぞ。」
その場に一人立ち尽くすスレイブは狂気の気配を背負ってそう呟いた
「世界の全ての知識、それだけでもすばらしいがそれを手に入れたら最強の力も得られるとは思わないか?」
「す、スレイブ!お前の本当の目的はそれだったのか・・」
 そう言ってカッセルがゆっくりと立ち上がる。
「とっさに張った剣のシールドのおかげで命拾いしました・・」
そう言ってクイックも立ち上がる。
「フン下らんな、他人がどう思おうと俺の知った事ではない、リムが半分起動させただけでもこれほどなのだ、さぁ、レムよ此方へくるのだ」
「レム聞いたか?あれが奴の正体だぜ?お前は破壊の為の道具として使われそうになったんだよ」
 ヴァルが必死でレムを説得する。しかしそれを無視してバイザーを装着するスレイブ。そこにリンネの妨害が入る
「そう言ってさりげなく装置を起動させようとしないでください」
リンネの腕からまっすぐに伸びた槍の矛先がスレイブを捕らえたはずだった
「ここさ、どこを狙っている?」
それと共にリンネの背中に突き刺さるような痛みが走る
「魔力の干渉・・」
「1stから2ndの間に失われた禁呪『メビウス・アンフィ二ティ』りゅ」
「しまった・・これで奴は全ての魔法を使用出来る事になる・・」
 カッセルが絶望の色を見せる・・しかしここに一人俯き、笑っている少女が居た
「闇の剣よその力を我に・・」
 そう言ってスレイブからかつて奪った黒の剣を取り出すパルフェ・・
「何をするかと思えば・・それを装備すれば負の力に取り込まれる。・・追記するならば闇の剣はシェゾ・○ィグイィのもっている剣だ。と記録されている。」
「(どんな内容が記録されているのか確かに気になるけど・・)しかしその剣についているゴテゴテしたのはもしや青の円水晶?」
「(こくり)呪いも科学的に検証すれば0と1の螺旋・・このハイテクばりの遺跡の鍵を開ける円水晶を接続すれば呪いの波動データをうんぬんかんぬん・・」
 パルフェがなにやらPCには理解しづらい事を口にする。
「と言うわけでそのメビウスなんだけどアロマティック・ディムで打ち消すわ。後よろしく。」
「おう任せときな!ッてその前に俺もやりたい事があるんだが良いか?」
 そう言ってスレイブに向かって笑みを浮かべるヴァル・・
「キ、貴様いったい何をするつもりだ・・?」
「ははは!この魔力、この力・・。なかなかお目に掛かれないぜ」
そのまま黒の剣を借り受けたヴァルは剣からあふれる
魔力を放出して空へと飛び出す
「グラビティ・ブレット(重力の鎖をばらばらにして飛ばして見る)」
「グラビティ∞!(アブソリュート・ゼロを使って見る)」
どうやら某重力使いサンの真似事をして見たかっただけらしいヴァル。しかし加熱した彼を止める者はいなく、そのまま空中からグラビティ∞で吸い上げた瓦礫をスレイブに向かい叩き落とす。そしてそのまま瓦礫と共に接近したヴァルはスレイブを掴み、記憶装置に叩きつけたままどんどん上昇していく。
「うわヴァル伯父さんサイキッカーになっちゃったよ。」
「ひでぇ・・おいクイック、コンボカウンターは?」
「ええっと、さっきのグラビティブレットが2発でグラビティ∞が13発、瓦礫を利用したサテライトフォールが5発のシェービングウォールが2発これが限定解除されて全部繋がって22HITっていってますけど」
「スレイブも中途半端に強いと拷問以外の何物でもないな」
「私を地上に帰せ!」
そのまま空中でスレイブの叫び声が聞こえてくる。
「お望みどおり帰してやるぜ。」
そのままスレイブと瓦礫を直下に叩きつけようとしたときリンネが復帰し、そのまま下で待ち構え落下し手くる加速度と共に槍のラッシュを加える。
「ヴァルさん、私の分も残しておいてくださいよ。」


「そ、そうだスレイブがもっていったアシュレイおじさんの心の結晶!」
スレイブを倒し一息ついたところでもうひとつの目的を思い出したキルシュ。しかしそこでフロア全体が激しくゆれ始める。
「今度はいったいなんだって言うんだ!」
『マスターを失ったこの装置はもう必要ありません。ならば二度とこんな事にならないようにここで破壊してしまった方が良いのかもしれません。』
「リムか・・おまえ、まさか最初からそのつもりで」
カッセルをそのまま無視してシステム音となったリムは演算を続ける。
「0010111001101010110101010001000111101010110」
「リム・・。皆さんここは早く退避してください」
「おう!ってレム、お前は・・?」
「私には見届ける義務があります。自分が信じた物がどうなっていくのかと言うことを。」
レムの勧告にヴァルがうなづくもレムはどうやらこのまま遺跡に残るらしい。しかし心配したヴァルを案じてか最後に一言付け加えた。
「生きていたら・・・また逢いましょう。・・・・転移の扉。システムスタンバイ。エンフィールドへ・・。」
 その一言と共に一行の視界から記憶の塔の風景が消え去り魔術師ギルドの一室の風景へと切り替わる・・・
「レム・・本当に良いにゃ?」
「フォグ・・・貴方も居たの?」
「俺は別に記憶の塔がどうなっても知らないにゃ。リムを待ってるだけにゃ・・。」



セッション5<夜想曲嬰ハ長調
「ここがアシュレイ様の最深部・・・」
「パパの書斎みたい・・」
 一方アシュレイの心の扉を開いていたチトセとミリュウ、ローラは恐らく最深部と思われるところまでやってきていた。
「おじ様が氷付けになってる・・・」
チトセが最深部で発見したのは氷柱に取り込まれているアシュレイの姿だった。そしてそれはスレイブが持って行ったアシュレイの心の結晶と同じ形をしていた。
「ろ・・・ら・・・。」
「ぱぱ?パパ!気づいてるの?」
「アシュレイ様の意識があるのならば話しは早いです。チトセちゃん。」
「うん、」
そう言うとミリュウは教会での式典の時に使う楽器を取りだし始めた。そしてそれをゆっくりと奏で始めた
「チトセちゃん、ミリュウちゃん・・それは・・?」
「私のは力のある歌。呪歌よ。そしてミリュウのは本当は戦の神様が使うバトルソング。さ、ローラちゃんも一緒に歌お。ここが伯父さんの心の中なら本当の気持ちを伝える事が出来るはず。」
そう言って最初にミリュウが口を開く

 もう忘れかけてた過ち 癒えた傷も
 戸惑いながら選んだ道に似ているね

 そしてミリュウの言葉を受けるようにチトセも歌い始める

何が正しいとか 見えないものに捕われ
思うままに生きる勇気 
過去に閉じ込めて来た

そして二人に促されたローラが目の前で苦しんでいる父親に向かって語り始めた

 小さな絆を 今 守りたいから
 恥じらう瞳 守りたいから
悔やみはしないよ そう 大事なものは
これ以上何もないから

 3人が歌い終わった時には既にアシュレイの氷は解けそのままうつぶせに倒れこんでいた。
「パパ!」
倒れたアシュレイは駆け寄るローラの頬の感触をゆっくりとだがしっかりと確かめる
「ローラ・・私は永く夢を見ていたようだ・・私が思い悩んでいた事をやさしく許してくれるような・・。しかし大切な物を前に悩みつづけていること自体が罪だったのかもしれない。悩む事は本当に行き詰まったときだけで良いと言う事を改めて教えてもらった気がするよ・・・。」
 長い間自分の心と戦っていたアシュレイは疲れたように目を閉じる。
「おじさん、死ぬなんて事はそう簡単にいうんじゃないよ。精一杯生きている者にたいして失礼だよ。」
 チトセが弱気になっていたアシュレイを叱りつける
「そうです。でもチトセちゃんとにかく今は戻ってこれたんですから二人きりにしてあげませんか?ラビナ。もう、いいよ。」
 アシュレイとローラは満月の光がやさしい書斎の中に残された・・


セッション6<Green Waltz
「ラキちゃん結局あのアシュレイおじさんの結晶持ってきてたんだ・・・」
「ヴァルおじさんのコンボが決まっている間に落っこちてきてたからつい・・・」
今回の事件が終わった後、一行はクイックの店文月堂にて祝勝会を開いていた。
そこではキルシュとクイックが腕によりを掛けて作った料理が並べられていた。
「あぁ〜ぁプラムちゃん、よだれでてるよ・・」
「おいしそうりゅ〜・・・」
どさっ
「よう久しぶりだな。」
するとそこへ送れて居たヴァルが大量の紙束を持ってきて居た
「ヴァルさんこれは?」
「おう、これか?これは今回の一軒で内に回ってきた始末書じゃい、お役所仕事はこれだからな。」
そう言って席にすわりペンを取り出すと怒涛の勢いでサインを始める。
「始末書を3秒で終わらせていく・・・5ふんで100枚・・?」
次々と完成していく始末書の山・・ぶつぶつ言いながらも細かい雑用などが好きらしい。
「すまないな。本来ならこれはアカデミーの方で処理すべき書類のはずなのだが・・」
「細かい事を気にするな。あんたは嬢ちゃんと一緒に居れば良い。」
 ローラと共に呼ばれていたアシュレイも役所に回ってきた書類の多さに頭を下げる。
かららん
「遅れました〜」
続いて入ってきたのはリンネ。
「どうしたんだ冒険者ギルドの仕事か?」
「はい、ちょっと王都の方から魔法騎士サンと言う方が来ていらしたので街を案内してきたんです。」
「魔法騎士?王都と言ってもその数は少ないからな・・リンネさんその方の名前を教えてもらってよろしいか?」
それまでヴァルと共に話していたアシュレイだったが、自分と同じく魔法騎士がやってきたと聞いてリンネに尋ねた。
「はい、ヴァロリー郷と仰っていましたけど?」
「ヴァロリー・・あの代々文官を務めて居る名門の家ですね・・」
どうやら正騎士であるカミラは彼の事を知っているらしい。
「そうだ。どちらかと言うと私が剣技重視ならばヴァロリー郷は魔法や兵法を巧く扱う良き指揮官と聞いている」
「あたまがつんつんで変な仮面?」
「??」
 ヴァロリーと聞いてチトセが何かに反応する。しかしアシュレイには何の事か判らなかったらしく子くびを傾げてしまう。
するとそこへラビナの声が高らかと聞こえてくる
「それではここら辺で今日のメインイベントにいきたいとおもいまーす。」
 その高らかな声を響かせた次の瞬間文月堂の扉がゆっくりと開く
「こ、こんにちは・・」
「・・・・。」
「ご馳走にゃリン!」
 そこにはゆったりとしたパジャマローブの姿をした何時ものリムと、短衣にパンツルックのレムの姿があった。
「レムちゃんかっこ良い〜!」
「恥ずかしい・・」
みた感じレムの服に関してはラビナのチョイスらしい。しかし、こうしてみると最初のレムの印象から考えるとかなり人間味を帯びてきたように感じる。
「二人とも・・無事だったのか?」
「本当はあのまま塔の行く末を見守るつもりだったんですけどあの後崩壊の直前にプラムちゃんのケーツ・ハリーが飛んできて強引につれていかれちゃいました・・・」
「りゅ!」
 呼ばれた自分の生絵に反応はするもラビナが作ってきた料理がさらに追加され戦場とかしたテーブルから離れずに返事だけ返すプラム。
「そしたらラビナちゃんとプラムちゃんにしかられちゃいました・・。」
 恥ずかしそうにそう言うリム。一方レムの方はヴァルの姿を認めて近付いていく。
「自分の信じる物・・見つかったのか?」
「・・・ううん、でも探すことを教えてくれた貴方には感謝してる。これからリムといっしょにそれを探しに行くの。」
始末書を書きながらレムに問い掛けるヴァル
「外へ出るのか?」
「うん。他のいろんな事を自分達の目と耳を使ってちゃんと記録しておきたいの。」
ようやくレムの、レム自身の意思を聞いて始末書の手を止めるヴァル
「そうか・・・それじゃリンネにここら辺の地図を貰っていくんだな・・それと・・ひとつ聞いて良いか?お前、あの塔で寂しくなかったか。」
「それすらも忘れちゃった。長い、長い時間だったから・・。それと私からもひとつ聞いて良い?」
「答えられる事ならな」
「奥さん居るの?」
ピクっ・・
今まで怖くて誰も聞かなかった事をさらりときいてしまうレム・・それと共に周囲の時が停まる
「俺がもうちょっとわかけりゃ掻っ攫ってやるぞ。」
・・・・
「・・んで結局どっちなのよ・・?」
「内緒だ。」
 停まった時をチトセの一言が再び動かす。
「チェッ。詰まんないの」
「そんな事よりも今日は無礼講だ二人の旅路を祝って派手にやろうぜ。」
 始末書から開放されたらしいヴァルは昼から」ラビなの持ってきた中国酒を煽る

「カッセルさん・・」
「リムか。お前も飲むか?」
 一方此方はリムとカッセル。酒を薦めてくるカッセルの誘いを断わるリム。
「カッセルさんはトレジャーハンターなんですよね?」
「あぁ、宝の情報があればどこへでも参上するさ。」
「それじゃ、もしカッセルさんさえ良かったらこの国を案内してもらえませんか?」
「リムはどっか行くのかりゅ?」
 するとどこからか話を聞きつけてきたプラムが顔を伸ばす
「うんこれからいろんな所を回る旅をするの。」
「リム、残念だがもうちょっとここに居る事にするわ、でも、そうだな。これを・・つきと太陽のペンダント。ちょっと安物だけど番いになるんだ。相手の精神状況で色が変わるらしくてな、これの色が変わったとき。又会おうな・・」
「・・はい。」


Fin
NPC一覧
リム&フォグ
最後に旅立つことになりました。
紫亜さん・・・もといパジャマナ魔導師
結局カッセルさんは女泣かしなのは職業病なのでしょうか?
レム
結局ヴァルさんの家族構成は判らず終いでした。それはそうと彼女も妻子持ちか聞いてどうするんでしょう?

アシュレイ・ニューフィールド
自らのに打ち勝ったアシュレイ郷。どうやら事件の後は家に居る時間が増えたもようです

ローラ・ニューフィールド
結局、病気だけど寝たきりではないと言う設定は書きづらいですね・・何か良き設定はない物でしょうかね・・?

ラビナ・リューズ
あいも変わらず中華なエルフ。どうやら母親も似たような感性の持ち主らしい

スレイブ
結局、決まり手はリンネのラッシュアタックの後のキルラキの蹴りだったらしい。ともかく蜃気楼の塔と心中なさったそうです

カッセル・ジークフリート
結局おいしい所だけエブリタイム持って行ってくれるのはゲーム版でも替わらない模様です。


例えばこんなアクション
○安穏とした日常を過ごしてみる
○新しいキャラクターが良く判るような行動を取ってみる。
○自分から何か事件を作ってみる


マスターより
はい長い期間お疲れ様でした(メールゲームとしては短い方な気もするけど)思い起こせば半年もやってますねこの企画・・
でもまだ第二部が続きます・・
とまぁ、後の話しは後でするとして、今回のサブタイトル&各小節名はそれぞれ悠久シリーズの楽曲タイトル名を使用しています。最終回はやはりこんな感じになるな・・・

そして今回は珍しい事もしました。なぜか割と多い劇中歌―ローラがアシュレイを助けると期の歌は今回はオリジナルではありませんでした。I^ve soundの「僕らが見守る未来」(作詞:KOTOKO嬢)より使わせて頂きました。
ありがとうございました。

さて例えばこんなアクションの欄ですが、次回からは第二部と言うことでアクションの方は第二部に参加するキャラクターの日常を書いて送って頂ければこれ幸いかなと思います。
と言うわけでまた次回ようやく春の兆しが見え始めてきた常春の街エンフィールドより町の脚本家がお送りいたしました〜


次回第二部の1話目締め切りは
3/28日まで
でよろしくお願いします。