お願い。

ねぇ、お願い。
私を見て。私を見つめて。
君の綺麗な瞳で私を見つめて。
私の眼の中の君自身が見えるくらい。
視線で私を貫いて動けなくしても良い。


その手でこのちっぽけなナイフを持って、その腕を私の胸に当てて。
ほら、試しにほんの少し前に押してみたら紅い紅い血が滲んでく。
気にしなくて良いの。
逝く時は私、紅いドレスって決めてたから。


君の手で私に刻まれた痛み。君のお陰で色んな事を知る事が出来たんだから。
小さいナイフの煌めきは私の炎みたいでしょう?
さっきみたいにすぐにでもきえてしまいそう。


ねぇ、教えて。
私の事、好き?
それならこの手を伸ばして。
私の事、嫌い?
それなら私がこの手を引き寄せるから


ねぇ、お願い。
私が居なくなったらたまには想いだして。
ねぇ、お願い。